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2011/08/30

サイドプレート・ボックスロック・サイドロック

Tweet ThisSend to Facebook | by shotamakino
このウェブサイトのリニューアルをきっかけに、当店自慢の銃砲庫もかなり整理がされました。

 泣く子は黙らないけれど、ガンマニアがよだれをたらすペラッツィのサイドロックから、さすがに村田銃はありませんが、同じく明治の終わり頃に作られたであろう鳥うち用の豆鉄砲まで、色々な銃があるものです。

 さて、ガス圧作動や反動利用など、様々な稼動方式があって、それぞれにファンがいる自動銃と比べると、上下2連の銃は機械的な面白みに欠ける、と思われているお客様がかなりいらっしゃいます。

 確かに上下2連の銃は、銃身が2つ並んで、機関部の根元を折り曲げて装填や排きょうをするという原始的な構造で、自動銃ほど派手な機関動作はありませんので、乱暴に言えば「見た目はともかく、性能はどれも同じ!」と言えない事もないのです。実際に、上下2連の機械的な仕組みは、70年も前にブローニングが完成させているわけです。


 とはいえ、上下2連もの機関部も、よく見ると構造に違いがあるもので、なんとなく「この銃は彫刻もシンプルで台木も地味なのに高級感があるなぁ」と思う銃は、機関部がサイドプレートだったりするもので、中身を知ればそれなりに面白いものです。

 というわけで、上下2連の基本的な構造3つのご紹介です。


 サイドロック


サイドロック

いかにも高価そうなこの銃は、サイドロックという機関部です。
 機関部の金属が、銃床にぐーっとくいこんで、グリップのほうまで続いています。よく見るとこの金属部、前半分と後ろ半分に分かれているのですが、判別できますか?
 この金属部の後ろ半分は、銃床をくりぬいた空洞を覆うように取り付けられており、撃鉄やバネなどの機関部は、金属板に固定されて、空洞の中に収められています。
 これがクラシックな機関部の作り方で、銃床をきれいにくりぬくという、非常に手間のかかる製法です。しかも、銃床をくりぬいても強度を保たなければならないので、素材の品質や、設計の自由度の面でも制約が大きいのです。
 サイドロックのメリットといえば、機関部の取り外しが簡単で、メンテナンスが容易だということですが、後述のボックスロックもそれなりに工夫をして、メンテナンス性を高めています。それよりも、前後に幅の広い機関部に贅沢な装飾を施せ、全体として優雅な趣に仕上がる、という外見上の特徴のほうが大きいとも言えます。


 サイドロックに対して、現代的な…製法も簡単で機械的な強度も高く、品質のばらつきも少ない機関部が、ボックスロックです。


ボックスロック

 機関部が銃身の真下で直線的に途切れており、サイドロックのように銃床にえぐりこみがありません。この構造では、銃床をあまり削らずに、箱状の機関部を取り付けるような形成になっています。銃床を掘り込んで機関部を埋め込むサイドロックに比べ、箱状の独立した機関部になっている分強度に優れ、製造工程でも、木部と金属部を別に加工することができるので、大量生産に向いているといえます。
 反面、機関部を分解することが難しく、メンテナンスや部品の交換に手間がかかる、ということがデメリットだったのですが、最近では引き金ユニットの取り外しなど、構造上の工夫でメンテナンス性が改善されています。機械的な強度を保つという意味では、サイドロックよりもボックスロックのほうが優れており、現代的であるといえます。

 
ボックスロックの強度、生産性の高さと、サイドプレートの優雅な外観を兼ね備えた機関部が「サイドプレート」です。
サイドプレート



 サイドプレートはボックスロックの機関部を基本に、装飾用のプレートを取り付けたものです。

 装飾用、とはいっても、取り外しが簡単で、機関部を露出させることができるので、メンテナンスを容易にするという意味で実用性も高い仕様です。
 その意味で、ボックスロックのトリガー脱着仕様と、サイドプレートのどちらを選ぶかは、完全に趣味の問題であると思います。



 ところで、サイドロックは手間ばかりかかり、外見はサイドプレートと同じ、不合理な機関部かと言うとそうでもありません。構造上、機関部がタテではなく前後に長く、重量バランスがよい、という考え方もあります。また、銃は実用品というよりは趣味の道具、嗜好品のようなものなのですから、より手間のかかるクラシックな方式で、現代的な方式と同様の性能を実現している、という点に遊び心を見出していただきたいという面もあるのです。

 ちょうど、自動巻きの時計が、正確性やメンテナンスのやさしさでは、クォーツの時計にまけながらも根強いファンがいるようなもので「目に見えない、中身の面白さ」というものも確実に存在するのです。

 上下2連、奥が深いものですよ。

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