
ホーワM300 通称カービンの初期型です。
カービンとは、騎兵銃の意味。馬に乗って走り回る騎兵にとって、扱いよい、歩兵銃よりやや短く軽量のライフルのことです。
ホーワM300の原型は、太平洋戦争でも使われた、米国ウィンチェスターM1カービンです。当時の標準歩兵銃であったM1ガランドの4.3キロに比べて、2.6キロの軽量。太平洋戦線の茂みが多いフィールドで多用される、100メートル以内での十分な威力と命中精度をそなえたカービンは、米国将兵のみならず、米軍の武器を鹵獲した日本兵にも愛用される、名作銃でありました。
終戦後、我が国の豊和工業は、米軍の協力工場としてカービンを生産し、朝鮮戦争終了後の1960年には、軍用とほぼ同設計の軽量自動カービンを猟銃「ホーワ・カービン」として、発売しました。
ホーワ・カービンは、軍用銃ゆずりの頑丈さ、確実な作動に加え、コンパクトな設計で小柄な日本人にも扱いやすく、軽量、短めの全長も、イノシシが好むガサ藪での近接射撃に最適な仕様でありました。
かくして、大戦中は日本に銃口が向けられていたM1カービンは、戦後にはイノシシ猟に最適の銃として、山野からの食糧確保に大活躍し、今日でも「シシ撃ちの勢子にはカービン」との確固たる評価は揺るぎません。
さて、現在の目でホーワ・カービンを見ますと。100メートルまでは良くとも、それ以遠では頼りない、
7.62mm×33の威力と弾道特性。軽量とは言っても、体格の良くなった今の日本人にとっては、銃の軽量化は最優先ではなく、他の自動銃も軽くなりまして(例えば、自動銃として定評のあるBARでも、重量3キロ。もちろんフルサイズのライフル弾を射出することができます)、やや古くさい銃であることは否めません。
しかしながら、旧きよき1930年代の設計の残る、1ピースストック(先台と銃床が1枚板で形成されている)と、特に写真の初期型に顕著な、造詣の美しい機関部、錆止めのパーカーライジングの美しさは、アメリカの自由な発想と、日本人のこだわりが美しく融合した、歴史的銘銃の存在感をひしひしと感じます。

猟銃は、あくまで、獲物を倒せてナンボの実用品であることは、否定しません。確かに、カービンは、現代の猟銃に比べれば、遠距離での集弾性能や、弾丸の威力は劣るかもしれません。
しかし、軽量による取り回しの良好性。ショックが軽いための射撃のしやすさ、そこから生じる、実用的な命中精度の高さ(体に無駄な力が入らないと、不思議なほどよく当たるものです)。手入れ要らずの信頼性。このような銘銃を相棒として、野山を駆け巡り、イノシシと勝負するのも、オツなものです。
ホーワ・カービンの中でも、機関部の質感が美しい初期型は、1967年までの、わずか8年しか生産されていない、貴重品です。照門はV字型で、すばやく狙うことが可能で、特に近距離のスナップショットに最適。ユーザーの評判も上場です。(後期は上面がのっぺりしたデザインになり、照門は丸い小穴型のピープサイトです。狙いこむ射撃にむいた形式になります)。
当社在庫の銃は、写真の通り、こすれ傷はあっても、大きな損傷はなく、銃床の木目もなかなかものです。ぜひお早めに、ご購入ご検討ください。