その1では、ケメンの歴史などについて書かせていただきましたが、その2では、ケメンとペラッツィとの機構的な違いについて紹介させていただきます。
「上下二連は何が変わったか」でも書いたとおり、銃という道具は機構的には完成されてから100年近く経過しており、例えば自動車であればV8エンジンだとかハイブリッドだとかいうような、はっきりコレという違いは出にくいものです。
今回精査してみて驚きましたが、銃身や松葉バネ(激発バネ)などは、まったくそのままか微細な調整で流用することも可能なほど、寸法が似通っています。もしかしたらバネは共通の外部メーカーで生産しているのかもしれませんが…それはさておき、普段は店頭でもなかなか比較できないケメンとペラッチの徹底解説です。買う気がなくてもじっくり見ることが出来るのがインターネットのいいところですので、心ゆくまでご覧ください(笑)。
◎銃身
「重い」銃だと言われるペラッツィですが、つぶさに見てみると軽量化のための工夫がされていることがわかります。
まず、先台をはずすと、先台にかくれて見えない部分は、中間リブ(上下の銃身をロウ付けしている部分)がありません(現行MX8)。軽量化のためでしょう。
しかし、写真のMX8は、銃身が実測で1.58キロあります、ケメンは1.56キロです。
写真のケメンは、先台の部分まで中間リブがある上に、ステップリブ(段付き、途中からハイリブ)ですのでそのぶんかさが高く重たいはずなのですがペラッツィより軽くなっています。
銃身そのものの太さ、厚みは、見た目ではほぼ同じです。
重いと評判のペラッチと良く似た外観で、ステップリブのモデルはペラッチ以上に重い、撃ち手を選ぶ銃だ、という印象を持たれてしまうかも知れませんが、実際に銃身を計量してみると、むしろ軽い銃身であることがわかります。
◎ 機関部
機関部の幅はペラッツィの方が厚みがあります。わずか0.5ミリですが、金属部分ですので重量的には差が出る部分です。機関部を重くすると、相対的に「先軽」の銃となり、逆に軽くすると「先重」になります。
グリップの寸はほぼ同じですので、ケメンのほうが機関部がやせているような印象です。
機関部には厚みがあったほうが設計にゆとりができ、耐久性に優れた構造にしやすいはずですが、ケメンもペラッツィと同等かそれ以上の耐久性があります。。
◎ 先台
先台は、ほぼ同じですね。細部の仕上が違うだけです。
◎ 接合部
ロッキングスペースが、ケメンのほうが深いようです。ここが深いとトップレバーのストロークが長くなります。また、ロックが強固になるはずです。
ロッキングスペースが浅い方が、理屈上は開閉操作がしやすいことになります。もっとも、ケメンのトップレバーの操作がしにくいという声は聞いたことがありませんが…。
◎ 機関部
主要な「仕組み」はどちらも同じです。ケメンの銃身を調整すれば、ペラッツィに取り付けることもできます。
お金に余裕があって、とにかく他人と違う銃が欲しいという方はご相談下さい。世にも珍しい「ケメラッチ」、ご用意できます。
◎ トリガーユニット
コレは各部品の形状の違いがはっきり判りますね。ただし、ハンマースプリングは共通でいけるようです。
上下二連でトラブルが発生するとしたら松葉バネの折れですが、すでにペラッチをお持ちの方でしたら、予備のバネは共用できる、ということです。
知名度の低さゆえか、ペラッチのあまりの有名さのためか、目立たないケメンのトラップガンですが、丁寧なつくりで信頼性、安定性ともに自信を持ってお勧めできます。ぜひ一度実物をご覧になってください。
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