私自身が猟銃を所持するようになった理由はいくつかあるのですが、そのきっかけの一つが「中古の実銃の方が、ちょっと凝った遊戯銃よりも安い!」と知った事です。
当店の中古銃ギャラリーを見ていただければ分かる通り、外観の程度にこだわらなければ猟用で5万円、クレー射撃用で8万円程度から手に入ります。

ミロク G-13の機関部下側の彫刻です。さすがに100万円クラスの銃は彫刻も手が込んでいます。
さて、初めて銃をお買い求めになるお客様から、しばしば
「安い銃でも大丈夫なの? 高い銃と何が違うの」
という質問をいただきます。例えば車を買うときの事を考えると、あまり極端に安い中古車などは品質もそれなりで長持ちしないので、、同じような不安をお持ちになるのでしょう。
中古市場で販売されている銃は、安価な銃であっても安全性について不安はありません。使い方を間違えれば事故につながりますが、それは新銃でも同じです。古いから、安いからという理由で、例えば腔発のような深刻な事故を起こすというようなケースは皆無です。
中古銃の値段については、いろいろな要素があります。まずコンディション。銃の状態です。外観がきれいなら高価格になります。機関部の状態は、摩耗が少なく新品に近い状態か、使いこまれてすり減っているか、という事が問題となります。極端に磨耗しているとガタつきがありますが、射撃したときの安全性に問題のある銃は、先ほど書いた通り、一切販売されません。
また、銃の世界にも流行というものがあって、現在は自動銃であればベレッタが人気で、中古市場でも品薄、高止まりです。逆に、現在すでにブランド自体無くなっている「フジオート」などは、1980年頃に人気が高かった割には、安価に取引されています。だいたい、同時代、同程度のレミントンM1100の半額ですね。ちなみに、新銃ではレミントンの方が割安だったんですよ!! もっとも、レミントンの価格が安定しているのはベストセラーの現行モデルであるためオプションが豊富な事などの理由もあります。関連記事「レミントンの魅力」また執筆します。
上下二連でもベレッタ、ペラッツィ、ミロク、ブローニングなど知名度の高いブランドの方が価格は高いです。
新銃の値段についてですが、主にクレー射撃用の散弾銃に限って説明すると、価格の要素は以下の通りです。
・台木の木目、機関部彫刻の美観。彫刻は見た目だけの問題ですが、台木の質は射撃ショックの程度に関係してきます。台木が良いと撃ち応えも良いと言われています。
・機関部のすり合わせ。機関部の開閉操作をした時に、高い銃は初めからスムーズで、耐久性も優れています。安価な銃は使い始めから数千発は操作が硬いです。
・銃身のクセ。高価な銃ほど、散弾が均等に散らばる、程度の良い銃身を採用しています。
・機構の複雑さ。高級銃はサイドロックなどの複雑で伝統的な機構を採用しています。
おおむね、価格を左右するのは以上のような理由の組み合わせです。この中で、機械的な意味で あたる・あたらない に関わる部分は、銃身のクセだけです。ただし、安い銃でも散弾が明後日の方向に飛んでしまうような銃身は着いていません。
銃の値段がクレー射撃の成績に関わるようになるのは、少なくとも国体の候補とか、猟友会であれば県代表選手になるくらいのレベルです。ビギナーの間は、クレーが割れないのを銃の機械的な性能の所為にするべきではありません。
しかし、初心者にとって高い銃は意味がないかというと、そういうことは決してありません。良い道具、気に入った道具というのは、使っていて気持ちが良いものです。クレー射撃上達のコツは、とにかく楽しんで、たくさん射撃をすることです。趣味を楽しむために道具にお金をかけるというのは、たいへんまっとうな事です。
もちろん、気に入った銃を安価に手に入れることができるなら、それはお得でとても素晴らしい事です。しかし、多少の価格の違いで、もっと気に入った銃があるなら、お客様にはそれを買うことをお勧めしています。それは、お金儲けとか商売のためではなく、射撃を心から楽しんでいただくための事なのです!
続きを隠す<<