皆様、只今姫路は、台風のど真ん中です。
避難勧告の出ているところもあるみたいです。おきおつけてください。
こんな日は、心静かにおうちで読書もどうでしょうか?
銃に関する小説と言うと、アクション小説、犯罪小説、狩猟モノにしても東北のマタギを主人公としたものが多く、なかなか現代的なガンスポーツの実態を描いたような話にはお目にかかれません。
これも直接現代の射撃に関するテーマではないのですが、私自身がかなり楽しく読めた小説が、東郷隆氏の「
狙うて候」です。
幕末・明治の軍人にして射撃の名人。日本の軍隊で小銃を改良した技術者でもある主人公。戦に赴けば大活躍、ヨーロッパに遊学したときは、当地の射撃会に参加し、めざましい成績を残すという痛快なお話で、なんともスカっとする小説ですよ。
この主人公、日本初の近代的国産小銃「村田銃」にその名を残す村田経芳その人であります。
今では古臭い猟銃の代名詞である村田銃ですが、産業革命も経ていない日本で小銃の生産体制を整えただけで大したもの。それ以上に、村田氏自身の近代的な合理意識が良くわかる、まさに隠れた近代日本の立役者を紹介する良作です。
ちなみにこの本、薀蓄もなかなかのもので…例えば、エンフィールドやミニエーに採用されたプリチェット弾と言うタマがありまして、尻側に穴が開いた、ドングリ型のタマで、発射の圧力で銃身内に押し付けられ、ライフリングによって回転を与えられて直進性を高めるているって…これ、現代のフォスタースラッグと同じ理屈ですよね。
こういうのを読むと、銃って面白いなぁと、つくづく思います。