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2012/02/22

銃を持つということ 【エッセイ】

Tweet ThisSend to Facebook | by shotamakino
貴方は銃を持っても良いし、持たなくても良い。

 しかし、銃を持つものは、自分の銃に習熟しなければならない。
 現在の日本で散弾銃を所持することは、難しいことではない。暴力犯の前科が無いこと、住所不定でないこと、精神病でないこと。クリアすべき要件は明確である。

 貴方が銃を持つことを決める。
 それは他でもない、あなた自身の意思である。
 銃は鉄とその他の合金と木、あるいはプラスチック、少々のゴムから構成される。それらの素材からガンスミスが銃を作る。ありふれた鉄や木が、人間の意志によって銃という道具になる。
 銃は唯の物である。しかし、物には人間の精神が通う。
 例えば貴方の手も、身体から切り離してしまえば唯の物に過ぎない。伸びて切り離された爪、あるいは乾燥して剥がれ落ちた皮膚。間違い無く貴方の一部であった身体は、唯の物となる。
 貴方は貴方の手で愛しい人を撫でる。柔らかいぬくもりを感じる。あるいは、憎い人を殴る。こぶしに痛みを感じる。唯の物である貴方の手は、貴方の精神が通うことで貴方の一部となる。また、貴方の手がもたらす感覚が、貴方の精神を作る。
 
 銃を持つためには、クレー射撃の教習を受けなければならない。毎秒25メートルの速さで飛翔するクレーを、散弾で撃破する。
 クレーは空中を飛翔している。貴方が視認し、撃とうと思ったクレーは、散弾が到達するときにはその場にはない。貴方はクレーが一瞬先に到達するであろう場所を狙って銃を撃たねばならない。

 また、クレーは数十メートル先を飛翔する。片や銃の照星は目の前数十センチにある。クレーと照星に同時にピントをあわせることはできない。つまり、貴方は視覚のみではなく、感覚をもって狙いを定めなければならないのである。

 視覚に頼らず、右手で左手に触れるように、当たり前の動作として銃を構える。銃を身体の一部として扱うのである。

 貴方が銃を撃つ。鹿が倒れ、血を流して死ぬ。銃を持つことも、それを撃つことも、貴方が決めたことである。そして、生き物を殺すという経験は間違いなく貴方の精神を変える。

 銃に人間の精神が通ったときに、一つの意識が生まれる。その意識にたどり着くために、銃を持つものは銃に習熟しなければならないのである。


銃


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