懐かしい写真です。今はなき姫路射撃場のスキート射面のガンラックに、左からレミントンM870、同じくM1100、ベレッタ391が並んでいます。

M870は筆者の愛銃です。何度か紹介していますが、ウィングマスターの中でもSCという、特に仕上げのよい仕様で、今はもう生産していません。その割には、換銃身などのオプションは現行品をそのまま使えるので、実用性も十分。アメリカのガン・オークションでもなかなか出品されない品で、欲しいといっても手に入らないのです。(手に入るときは意外とあっさり購入できたりもするんですけどね、めぐり合わせのモノです)。
M1100は、M870をベースにした自動銃です。弾丸の射出に使われる、火薬の燃焼圧力の一部を流用して、手動で排莢をする代わりの動力としているわけです。火薬の燃焼圧力を流用するというのは、具体的に言えば、銃身の途中に横穴を空けて、ガスを機関部に引き込み、ガスの流れる勢いで機関部を作動させてるわけです。
この、ガスの引き込み機構は、先台の中に格納されているので、ガスオートはどうしても先台が大ぶりで、重くなりがちです。「オートは重い」とおっしゃる方が多いのは、銃全体の重さよりも、先重のバランスを評してそのような感想になる場合が多く、重いといわれるレミントンの自動銃よりも、競技用の上下ニ連の方が、実測では重い場合もあります。
ベレッタのガスオート、少し古いモデルだと304、現行だと391は、軽量化にすぐれ、バランスのよい自動銃として人気があります。これらは実測も軽量ですし、先重ということもなく、扱いやすい銃です。特に銃にこだわりがないけど、扱いやすくて間違いのない自動銃が欲しいという方は、ぜひベレッタをご購入ください。販売後のクレームも少ないので、販売店としてもラクなんですよ。では、他の自動銃はあかんのかというとそんなことはなく、そこらへんの話はまたおいおい紹介します。
ところで、M870やウィンチェスターM12などのポンプアクションは、慣れると自動より早く撃てる、なんて言われたりします。自動銃は引金を引くだけ、ポンプアクションは、引金を引く、先台を引く、先台を戻す、また引金を引く、と、アクションが多いのだから、そんなわけは無いだろうと思われるかもしれませんが、さにあらず。自動銃でも激発から装填までは、機械が作動するわずかなタイムラグがある上、射撃の反動に、機関部や先台の内部で、部品が動く振動もあいまって、2発目の狙いを定めるのに一瞬の間が生じます。これに反してポンプアクションに習熟すると、先台の操作で発砲の反動をいなし、装填と同時に2発目を狙うことができるようになります。
これ、誰にでもできるかというと、そういうわけでもなくて、向いている人というのがあるのです。まず、ポンプアクションの動作自体が好きで、銃をさわることが楽しめる人。こういうものは、実際にさわらないと慣れません。ヒマさえあればガチャガチャやっている人は、おのずと上達します。
また、右手の引金の操作と、左手の先台の操作を同調させるのは、左右の手をバラバラに動かすという点で、ちょうど楽器の演奏や車、あるいはバイクのギア操作に良く似ています。これらが好きな人も、ポンプアクションに向いていると思います。
ポンプアクションは、自動と比べて、作動音が小さい、脱包や装填がラク(自動銃であればボルトハンドルとリリースボタンという2つの操作場所がありますが、ポンプは先台の前後のみでこの操作ができる上、装填操作と同時に射撃体勢をとれます)というメリットがあり、なおかつ、銃自体のバランスもすぐれている場合が多いといえます。自動銃より速い連射という域にはたどり着けなくとも、誰でもこれらの恩恵を感じることはできると思います。
しかしやはり、ポンプアクションの魅力は、激発と同時に、無意識に先台を繰り動かし、体全体が銃と一体になったような操作感のまま、2発、3発と射撃する「体が勝手に動く」感覚だと思います。
上質なポンプアクションは、銃との一体感を強く感じさせてくれる、射撃の楽しみが濃厚な道具なのです。